【コラム】働き方改革〜兼業・副業

2019-12-25

厚生労働省は23日、多様な働き方を実現するための新たな制度見直し案をまとめた。兼業や副業をする人が勤務中の事故などで働けなくなった場合に、本業の賃金と合算して労災保険を給付する。雇用保険の一部も見直すらしい。

現在の労災の休業補償給付の算定基準は、労災事故を起こした会社の月収を前提に金額を決めている。収入が僅かな兼業先で労災事故に遭った場合、僅かな収入の算定基準となるため、本業での収入は補償されないことになる。見直し後は、兼業先と本業先の収入の合算が算定基準になるようだ。労災が認定されやすくなるよう労働時間も合算される。また、雇用保険も高齢者に限り、複数の職場で週20時間以上となれば加入できるようにする。給付目当てで副業するなどのモラルハザードが起きないか検証し対象を広げる

兼業・副業について、従来、企業は懲戒処分の対象として、基本的には認めることは少なかった。リクルートキャリアの調査によると、禁止が71.1%、推進・容認が28.8%となっている。兼業・副業の禁止理由は、「社員の長時間労働・過重労働を助長するため」が44.8%と最も高く、兼業・副業の受け入れについては、40.6%の企業が受け入れ済もしくは検討中としている。

労働者のメリットとして、・ 離職せずとも労働者が主体的にキャリアを形成することができる。・本業の所得を活かして、自己実現を追求することができる。・所得が増加する。・本業を続けつつ、将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。一方、企業としてのメリットは、・労働者が社内では得られない知識、スキルを獲得できる・ 優秀な人材の獲得、流出の防止・ 労働者が社外から新たな知識、情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

働き方が多様化する中で副業希望者は増えているが、本業と副業の掛け持ちで懸念される長時間労働をどう管理していくか。企業が副業者の健康確保に取り組むことを前提に、他の仕事の時間とあわせず「事業主ごとに上限規制を適用する」といった案がでているが、労働者側は長時間労働を助長する可能性が出てくる。

新卒一括採用や終身雇用といった従来型の雇用制度が変わり、副業や兼業を含めて働き方が多様化する中、働き手や企業が使いやすい仕組みを整えることが、働き方改革につながっていくのではないか。

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