【コラム】働き方改革~特定技能制度

2019-12-25

国土交通省は特定技能制度で来日した建設分野の外国人の失踪や不法就労を防ぐため、工事の元請けとなる大手建設会社に就労環境の点検を義務付ける。契約などと異なる劣悪な環境で働いていないか確かめることを求める。失踪する外国人が多く、大手企業を巻き込んで持続可能な受け入れ態勢づくりをめざすようだ。

先日もベトナム人技能実習生らに違法な時間外労働をさせ、割増賃金を支払わなかったうえ賃金台帳に虚偽の記載をした事件があった。また、法務省が2018年に発表によれば、2017年に失踪した実習生は7千人を超し、2013年からの5年間では延べ2万6千人が失踪しているらしい。

特定技能制度や技能実習生とは、どのようなものなのか。「技能実習」での外国人の受け入れは、日本の国際貢献や国際協力の一環として、今日まで続く外国人“研修”制度だ。最長5年の実習が終われば、母国に帰国して修得した技術・技能を活かせる業務に従事することが条件となる。「特定技能」はまさに「労働力」だ。外国人を労働力が不足する産業の人材として従事してもらうためのものだ。

「技能実習制度」は、日本政府はあくまで「外国人単純労働者」の導入は行わないとしていたが、「外国人実習生」として、実質的には外国人労働者の導入を行ったのである。「労働者」であるにも関わらず、「労働者ではない」という存在を作り上げてしまった。
法務省は、受け入れ機関の不正行為を指摘された機関は、2017年213団体。2015年の273、2016年の239と、これだけ多くの機関が不正行為を行っている。大量の失踪を発生させている原因には、こうした悪質な受け入れ団体や受け入れ企業の存在がある。

「特定技能制度」は、労働者として受け入れる訳なので、こうした問題が起こることはないのだろうか。厳しい監視が必要だ。

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