【コラム】働き方改革~高年齢雇用継続給付金
厚生労働省は20日、賃金が現役時代に比べて大幅に下がった60~64歳の高齢者に支払う「高年齢雇用継続給付」を段階的に減らす案をまとめたようだ。65歳までの継続雇用が完全義務化される2025年度から、新たに60歳になる人の給付率を半分に減らす。今後は見直しに伴う企業への支援策と合わせ、給付制度の廃止も検討する。18年度の支給額は17年度比1.3%増の1769億円だった。
この給付金が最終的になくなることで、退職後の公的給付金は、65歳からの年金給付だけになる。60歳定年で退職したあとは、働かない限り65歳まで収入は立たれることになる。収入なしに生活していくことができる資産家でない限り、生活していくことは、困難になる。つまり働かなければならない状況になるということだ。
在職老齢年金とこの高年齢雇用継続給付金は、以前から高齢者の働く意欲を阻害する制度として問題視されていた。フルタイムできっちりと働き収入が増えれば、公的給付が減らせれるため、そこそこの働き方であれば、公的給付の満額がもらえるため、意欲を持って働こうとする人のモチベーションを阻害すると言われてきた。
もともとこの給付金は、60歳以降の雇用継続は基本的に企業の財政難などもあり賃金の引き下げが行われることへの補助として機能してきた。あくまで65歳定年を前提にしていたもので、それ以降の継続雇用の賃金は、引き下げられることが当たり前の上での、制度としての仕組みであった。
政府の社会保障制度改革の中で、「年齢を基準に『高齢者』とひとくくりにすることは現実に合わなくなっている」と指摘し、仕組みを変えるとのことだが、定年後の継続雇用や定年延長に伴う賃金が、はたして年齢を基準に決めない仕組みに変わることができるのだろうか。
高齢者の働き方が変革しても、企業はその働き方の変革に対応してくれるかどうかが、高齢者の働き方改革の成否を握る。