【コラム】働き方改革〜日本郵政グループの働き方

2020-01-08

日本郵政の前社長は、西室泰三氏だ。あの株式会社東芝代表取締役社長であった方だ。ご存知の通り、2015年・2017年と、東芝に2度の不正会計問題を起こさせ、東芝を世界企業から倒産寸前の崩壊へと追い込んだ張本人と言っていい人物だ。しかし本人はこれらの責任を問われず、その後も東芝名誉顧問として東芝の経営に関与し続け、2013-2016年には、日本郵政社長の座にあり、豪州の物流会社トール・ホールディングスを6600億円で買収することを殆ど1人で決定したといわれるが、その結果日本郵政にも4000億円の巨額損失を与えた。

その後任の社長が、長門正貢氏だ。日本興業銀行に入行、2006年から富士重工業(現 : SUBARU)に移り、代表取締役副社長、2011年6月シティバンク銀行に移り、2012年1月同行取締役会長に就任している。こうした実績を評価され、2015年5月11日、ゆうちょ銀行社長に就任している。2016年4月1日付で、西室泰三日本郵政社長の病気による退任に伴い、日本郵政取締役兼代表執行役社長に就任した。

日本郵政グループは、調査によると、過去五年間で法令や社内規定に違反する疑いのある契約数は一万二千件を超えており、かんぽをめぐっては保険料二重払いや無保険状態の契約などが次々に発覚。今回の調査では、商品の虚偽説明など法令違反の疑いが濃い悪質な事例もあったとのことだ。不正の温床になったのは職員に対する過剰なノルマだ。

日本郵政のホームページのトップメッセージに次のように述べられている。

「…社員に対しては、給与水準と報酬水準をしっかりとしていくほかに、企業として、ダイバーシティ、介護、育児の課題を考えなければなりません。また、女性登用のみならずLGBTの差別や偏見に気を配らなければなりません。そうなると、クオリティー・オブ・ワーキングライフが必要なわけです。社員が幸福に出社してくれるような環境を整えたいですね。「チームJP」として、みんなで頑張ろうということです。これから来る新入社員に、あの会社に絶対入りたいと言われるような企業になることが目標です。」

なんとも悲しいメッセージを残しての辞任である。日本を代表する企業経営者の考えに、何か根本的に歪んだものがあるのではないか。こんなことでは、いつまでたっても働き方改革は進まない。

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