【コラム】働き方改革~労働力人口と生産年齢人口

2020-01-21
コラム:方円の器

 国連の資料によると、世界の生産年齢人口は2020年時点で50億8000万人。新興国を中心とする人口増で、50年には61億3000万人と20%増える見通しだそうだ。生産年齢人口とは、生産活動を中心となって支える人口のことで、15~64歳の人口のことだ。

 日本の生産年齢人口は、戦後増加を続け、1995年にピークの8726万人に到達したが、それ以降は減少を続け、2015年には7728万人となっている。将来推計人口の出生中位推計の結果によると日本の生産年齢人口は、2029年に7000万人、2040年に6000万人、2056年に5000万人を下回り、2065年には4529万人となると予測されている。

 一方、総務省が毎年発表している2017年労働力調査によると、2017年の労働力人口は6720万人となっている。このうち、6530万人は就業者で前年から65万人増加しており、完全失業者は190万人で前年から18万人減少している。労働力人口は2012年の6280万人から5年連続で増加しており、2007年から2017年までの10年間で2017年はもっとも労働力人口が高い年になっている。また、労働力人口における高齢者の割合が上昇し続けていることは特筆すべきである。

 労働力人口と生産年齢人口との違いは何だろうか。労働力人口が満15歳以上で労働する意思と能力を持った人の数を指すのに対して、生産年齢人口とは15歳以上65歳未満の人口のことを指す。基本的には生産年齢人口の中に労働力人口が内包されるが、微妙に異なる。たとえば、生産年齢人口には含まれていても、労働する意思や能力の無い人は労働力人口に含まれない。一方65歳以上で働いている人は生産年齢人口には含まれないが労働力人口には含まれる。

 今のところ、生産年齢人口は減少していても、労働力人口は増加しているが、女性や高齢者の労働力参加率の向上もいずれ頭打ちになり、長期的には少子高齢化によって生産年齢人口は大幅に減少するはずなので、労働力人口も大幅に減少すると考えられる。

 ではその対策はどうすれば良いのか。まずは、高齢者のさらなる雇用の拡大であり、定年年齢の引き上げや、定年という概念を取りやめること。次に女性が働きやすい制度を拡充すること、子育てしながら働きたい女性が働きやすい雇用環境の整備すること。そして、非正規社員を正規雇用や格差是正すること、こうした身分制度を取りやめることではないだろうか。

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