【コラム】働き方改革〜職務分析

2020-01-08

安倍総理大臣は、IMFの専務理事との会談で、日本経済を中長期的に成長させるためには、働き方改革など少子高齢化の進展に合わせた構造改革が必要だという認識で一致した。また、経団連の中西会長は、2020年の春闘について「生産性を上げるような働き方改革について議論したい」と述べ、賃上げに加え、生産性向上につながる働き方についても労使間で議論すべきだという考えを提示した。政府、企業ともに、生産性向上に向けた働き方改革の必要性を認識している点で一致している。

生産性を上げる働き方とは、労働時間をいかに少なくし、付加価値をいかにして多く勝ち取る働き方をするという事なのだろう。現在のやり方は、生産性が低いものだとの前提で考えなくてはならない。そのために、どのような方法で働き方を変えて行けばいいのか。

残業を抑制するために、強制的にパソコンをシャットダウンしたり、照明を切ったりすることでは、解決にならない。あくまで働く人それぞれの業務をいかに変えていくのかという意識が重要になる。一人一人が自分の働き方を把握して、改善していき、PDCAサイクルをまわしていくことが重要で、「有効に時間を活用して、浮いた時間で家族と過ごす時間を増やしたり、自分の能力を高めるための時間をつくったりすることができる」と個人が気づくことが原点となる。

こうしたことは、個人で進めることは、なかなか難しく、ICTベンダーで見える化ツールを提供しており、Panasonicが「しごとコンパス」、NECが「働き方見える化サービス」、富士通エフサスが「TIME CREATOR」を提供している。これらは、業務内容の見える化、作業時間、勤務時間の見える化を行うツールで、パソコン上のファイルやアプリケーションの操作ログ情報を取得して、ファイルやアプリケーションの操作にどの程度時間をかけているのか、集計することのようだ。

こうしたやり方は、社労士として昔から行っている「職務分析」に当たるもので、「職務記述書」や「職務明細書」と言われるものの元になるものである。「職務基準」による「職務給」と言われるものだ。仕事基準の人事制度である。なぜ、この国は生産性が低いのか。それは、多くの企業はこうした職務分析を行わず、何をどこまでやるのか具体的に示さず、明確な目標とか期待される成果を明らかにしていないためだ。

それを「今の労働者の働き方は、生産性が低い」と責任を押し付けていることは、ないのだろうか。企業自ら見える化ツールを利用して、職務分析を行い、やるべきことの基準と目標を明確にしていくことが重要ではないだろうか。

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