【コラム】働き方改革〜「時間」や「年齢」による労働の価値

2020-01-08

「知」が価値を持つ今は、年齢や肉体の衰えとは関係なく優れたアイデアを出す人が果実を得ると言われている。フランス革命と産業革命の時代を起源として、「時間」を企業にささげる働き方が雇用だった。それが脈々と受け継がれ現在に至っている。時間に比例して生産高や賃金が決まったもの作り時代の名残りが、弊害といわれ始めている。

若さや肉体に価値を置き、「時間」が雇用の基準としながら高齢化時代を迎え、定年という制度で次々と「引退」する世代を年金で支え続けることは難しくなっている。明らかに困難になってきているのに、いまだ主流の定年制を堅持し続けている。更に継続雇用という訳のわからない制度でごまかしを続けている。

年齢に関わらない能力による働き方と定年制は相反する。定年とは、肉体の衰えにより「時間」雇用の価値が下がるため雇用を終了するということなのだろう。継続雇用とは、「時間」雇用の単価を下げて契約をし直して再雇用するというシステムなのだ。年齢を基準に労働の価値判断していることによる弊害制度だ。

「時間」を基準に労働の価値を決めるのも時代錯誤だ。米国では組織に属さないフリーランスが2027年にも就労者の過半を占めるという予測もあるらしい。ただ自由な働き方を喜んでばかりもいられない。デジタル時代はスキルの陳腐化が格段に速まり、労働者の生活の安定性が揺らいでいく。「時間」も「年齢」も労働の価値判断にならないとしたら、どういう基準にカジを取るべきなのか。

技術が誕生するたびに一部の労働者は職を奪われたが、それを上回る需要が雇用を生んだ。時間や肉体ではなく知で勝負する時代には、働き手の「賞味期限」は延びるが、スキルは陳腐化し価値は下がる。「知」や「能力」を労働の価値判断とすべきなのか。そのスキルをどのようにして判断していくのか。その模索を急がなければならない。

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