【コラム】働き方改革~官僚の働き方

2020-01-08

衆院規則では、「議事中は参考のためにするものを除いては新聞紙及び書籍等を閲読してはならない」(第215条)とある。PCやタブレット端末、スマホについては明文化された規則はないものの、本会議場については215条を根拠に「持ち込みをご遠慮願っている」という。委員会室では、審議の参考に資する場合で、委員長の許可を受ければPCやタブレット端末を利用できる。参院は95年10月の議運の申し合わせで、本会議場、委員会室問わず、携帯電話の持ち込みを禁止している。PCやタブレット端末についても同様の運用とのことだ。

日経新聞によると、「霞が関の非常識 月100時間残業…」として、官僚の働き方を報じている。国会の会期中、役所の担当分野・法案について与野党の議員から審議での質問を聞きだし、閣僚らの答弁案をつくる。議員の質問通告は委員会を開く日の2日前の昼までが原則だが、大半は守られず、修正を重ねた大量の答弁案を印刷し、ホチキスでとじて、国会に自転車で届ける。審議の前はこの作業が延々と深夜まで続く。残業時間が月に100時間を超える職員は珍しくない。

こうした残業を余儀なくされている原因の一つが、このタブレット端末禁止ルールだ。「タブレットを使えば自宅で答弁の文言を修正し、内部で共有できる。完成版をすぐに届けられ、深夜の待機をなくせる」とのことだ。こんな古めかしいルールがまかり通っているとは、なんとも驚きだが、逆に国会らしいルールだ。

安倍内閣は、「働き方改革」と声高に叫んでいるが、足元の霞が関の状況はまったく改善されていない。霞が関はその「働き方改革」の旗振り役でもあるはずなのにである。人材という行政資源の浪費は日本の活力をそぎ職員の判断力や創造性の低下、人材の流出が続いているのではないか。学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄や、文科省を揺るがした加計疑惑、そして今回の桜を見る会のシュレッダー事件等、官僚の不祥事が続いている理由は、こうした安倍内閣の姿勢にあるのではないだろうか。

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