【コラム】働き方改革~70歳までの就労機会確保
・政府は19日、社会保障制度改革の中間報告をまとめた。その中で、長く働ける環境づくりも急ぐため、希望する高齢者に70歳まで就業機会を確保するよう企業に努力義務を課す。
・現在、高年齢者雇用安定法では、企業はすべての希望者を65歳まで雇用することが義務付けられている。それよりさらに5年長い70歳までの就業機会をいかに与えるかについては、従来の3つの選択肢(1)定年廃止(2)定年延長(3)嘱託などで再雇用があるが、(4)他企業への再就職支援(5)起業やフリーランスになり、業務委託契約を結ぶ(6)勤め先が出資するNPOなどに参加の3択を加えるという。
・中間報告の中で「年齢を基準に『高齢者』とひとくくりにすることは現実に合わなくなっている」と指摘した。65歳を基準に高齢者として一律に支えられる側に回る今の仕組みを変えていく必要があるとしている。
・そもそも「定年」とは、どのような意味をもつのだろうか。広辞苑によると「規則によって退職する決まりになっている年齢」としている。なぜこのような制度がはじまったのだろうか。「致仕(ちし)」と言って、中国の「礼記」にならった考え方があったとされ、礼記では「70歳を超えたら地位を他の人に譲る」ということが礼だとされていて、言い返せば、当時の定年とは自分で礼をわきまえ、自ら判断し身を引くこととされていた。
・年齢を基準にしない働き方とは、どのような働き方が良いのだろうか。「定年」の意味は、そもそも職を退くことである。その後の継続雇用とはどのような意味があるのだろうか。職を退いた後また職につく。なんだかおかしな具合だが、それが現実だ。
・日本の人事には、身分制度があり、その処遇や賃金が異なる。そこがあるからおかしな具合なのだ。それを解消することはできないものなのか。それを解消すれば、大きな働き方改革につながるように思える。