【コラム】働き方改革~国内出生数
厚生労働省が24日発表した2019年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は86万4千人となった。前年比5.92%減と急減し、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った。出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」も51万2千人と初めて50万人を超え、少子化・人口減が加速している。
総務省によると2019年7月時点で25~39歳の出産期の女性は969万人で、前年同月より約21万人減った。1971~74年生まれの団塊ジュニアが45歳以上になるなど、複数の要因が重なって出生数の急減を招いた可能性があるとしている。
明治5年の日本の総人口は、3,480万人であったそうだ。明治 45年に、5,000 万人を超え、昭和45年に初めて1億人を超えている。最も出生数が多かったのは、団塊の世代と言われる昭和22年~昭和24年で、260万人もあった。当時の人口が8,300万人程度なので、現在の1億2,600万人と比べると、5分の1程度に下がっていることになる。
出生数の減少の要因としては出産適齢期の女性人口の減少に加え、20歳代での結婚や出産が減っている点が挙げられる。「仕事の責任が重く、出産しても時短を選ぶことが難しい」との声があり、仕事は性別に関係なく同じ成果が求められるから、「出産後もいまのポジションが確保されるという確証がないと子どもを産めない」との声もある。
総務省の労働力調査によると、25~34歳の女性の就業率は80%を超えた。しかし、女性の就業率が上昇すると少子化になるというわけではない。スウェーデンなどでは女性の就業率が高く、出生率も17年で1.78と高いと聞く。少子化社会対策基本法が成立し、政府は仕事と子育ての両立や待機児童対策、保育料無償化や働き方改革、男性の育児参加などを推進してきている。2019年10月からは幼児教育や保育の無償化も始めた。子育て世帯への支援は強化されてきた。
働き方改革で、労働力の担い手として、「高齢者」「女性」「外国人」が挙げられるが、国の運命をも決める少子化問題は、女性が活躍できる職場環境の整備と働き方改革が最重要課題の一つではないだろうか。企業の一層の工夫と対策が必要で、男性を中心に社会の意識を変えることが重要だ。